7月26日(土)、武蔵野市にある境山野緑地にて、「こん虫観察会~虫のきもちで見てみよう~」、「雑木林の生きもの調査~チョウ・バッタ・オサムシ~」の二つプログラムが開催されました。主催は「武蔵野の森を育てる会」。この緑地は会の皆さんが武蔵野市とともに守ってきた森です。
最初に代表の田中雅文さんから、この森についての紹介がありました。
武蔵野らしい動植物が見られ、子どもが自然のなかで遊べ、大人も親しめる...このような緑地を目指して活動しているのが「武蔵野の森を育てる会」です。実はこの森はNPO birthの事務所からもそう遠くはない雑木林。代表の田中さんより依頼を受け、地域の緑を守り育てる活動支援の一環として、birthから講師を派遣することとなりました。
「身近に残る自然の面白さに気づいてほしい。残された数少ない森をみんなで考え、見守っていってほしい」そんな気持ちを込めて、今回は金本レンジャーがプログラムを実施しました。
今回は二部構成。
第一部は子どもたち対象の「こん虫観察会~虫のきもちで見てみよう~」です。
30名近くの方が参加してくださいました。
どうやって昆虫たちを探せばよいのか説明をします。
目で見るだけでなく、翅(はね)の音や樹液の匂いなど自然は様々なヒントをくれます。
ここがあやしい!なんか音がした!ちょっとかわった匂い!
小さなカミキリムシやアブラムシなどたくさんの虫が見つかりました。
何かが動く音を聞きつけて、枯れ木をどけてみると・・・。
こんなに大きなカブトムシ!
このカブトムシは何をしていたの?カブトムシのきもちになってみます。
土の中で寝ていた?おなかが減っているのかな?
では、カブトムシの食べものってなんだろう?
虫好きな子どもたちからは一斉に「樹液!木の蜜!」という声が挙がってきます。
しかし、境山野緑地では樹液の出ている木はなかなか見つかりません。
以前は出ていた木でも止まってしまったようです。
自然の中ではどうやって樹液が出ているかを説明しました。
カミキリムシが木をかじり、スズメバチやガの幼虫がそれを広げる。そうしてたくさんの樹液が出てきて、カブトムシやカナブンなどの昆虫が集ります。
しかし、虫たちが好きなのは、まだ若い細めのコナラやクヌギ。
大きな木ばかりになった境山野緑地では、カミキリムシやスズメバチがあまり見られなくなってしまったのです。
境山野緑地の一番外、若い木がある所を見に行きました。
「武蔵野の森を育てる会」のみなさんが、どんぐりから生えたコナラやクヌギを大切に育ててきた場所です。
木を少しだけ揺らしてみます。
「ブ~~~~ン」というたくさんの音とともにカナブンが次々と飛び立ちました。
こういう木が虫たちは好きなんだね。いろいろな木があった方がいいんだね。
虫の暮らしを見ることで、少し虫のきもちに近づけたようです。
虫のきもちになることで、もっとたくさんの生きものに会えるようになります。
これからもたくさん森にあそびにきて、いろいろな生きものに会ってみてくださいね!
第二部は「武蔵野の森を育てる会」のみなさんが対象の「雑木林の生きもの調査」。
長年植物を調べてきたみなさんですが、昆虫など動物の面からも森を見たいということで、昆虫調査を体験して頂きました。
今回対象にしたのはチョウとバッタ。
バッタは種類によって、好む草の高さや日当たりの状態などが違います。どんな種類がいるかを調べれば、森や草地の状態が推測できるのです。
チョウの幼虫は植物を食べるので、どんな植物が生えているのかを探ることができます。
種類によって好んで飛ぶ場所が違うため、森の茂り方を知る基準にもなります。
調査で大切なのは、誰もが出来る同じ方法で、定期的に継続して行うこと。網を振る回数を揃える、決められたルートを歩くなど、基本的な方法を説明していきます。
続いて実践。久しぶりに虫とり網を握り、悪戦苦闘。
エサを入れたコップを落とし穴にして、地面を歩く昆虫を集める方法です。
結果は大きなアオオサムシを中心に、ハネカクシ、ゴミムシやエンマコガネの一種などの昆虫たちを観察できました。こういう昆虫を調べることで、森の土の状態が推測できるのです。
これらの虫を継続して調査をすることで、森の手入れの効果を判定できるようになります。一番大切なのは、楽しみながら継続して調査を行うこと。大人が夢中になって網を振っている姿が印象的でした。
今回は二部構成でしたが、大人も子どもも生きものが好きで、森に入った瞬間に目が輝くようになるのは共通していました。子どもたちがあそび、大人たちものんびり過ごしている、境山野緑地は地域のみなさんに愛される素敵な場所です。
みなさんと一緒に楽しみながら考えて、ずっと受け継いで残していきたいですね!
ご参加された皆様、ありがとうございました!