コミュニティガーデンツアー、ランチをはさんで・・。
次のガーデンは、「Seattle Community Farm」。住宅地の中にあるこのガーデンは、住宅地の中にある利用しにくい土地を農園にすることで、食や農の大切さを住民に伝えることを目的に作られたガーデンです。地域の団体やハウジング会社のサポートのもと、コーディネーターのスコットさんが勤務しており、ボランティア活動のコーディネートをしています。
コミュニティが集える場としながら、さまざまな食農の教育プログラムを実施しているとのこと。またフードバンク(低所得者層へ食料を配給する団体)へも寄付しているそうです。
帰り際に、ボランティアの方から、とっても大きなズッキーニを2本も!いただきました。ご好意は嬉しいけれど、これはツーリストには料理できない・・・ということで、ツアーコーディネーターのシアトル市の職員の方に差し上げました。
そして、この日最後に訪問したガーデンは、湿地(wetland)に隣接するガーデン「Tilth-Rainer Beach Urban Farm & Wetlands」。ここは、とーっても広くて、農場といった雰囲気です。
ご近所に住んでいるボランティアの方が、ガーデンの概要について説明してくれました。彼女が来ているスタッフTシャツには、野菜と人々のつながり、そして湿地のイラストが描いてあります。湿地にあるガーデンのため、自然環境の教育プログラムも行っているとのこと。
これはなに?と聞くと、ニワトリ小屋のコンテストをしたそう。かわいいケージ!
このガーデンをつくるときには、もともとここに繁茂していたベリー類を除去するのがたいへんだったとのこと。このベリー類は、この地域一帯にあり、とっても美味しくて、見かけるとつまんで食べてしまうのですが、繁殖力はすごく強くてほかの植物を被圧してしまうようです。
そしてこのガーデンも、前半で紹介したtilth'sの教育プログラムが実施されているとのこと。
そして、今後さらに持続可能な都市農業のための教育センターとして発展させていきたいとのことで、ガーデンの将来像が描かれた計画図も掲示されていました。
これだけの活動をボランティアだけで運営しているの?と聞くと、専従のコーディネーターが2名あるとのこと。しかし、彼女のような熱心なボランティアの存在が、活動の継続には欠かせません。
さて、今回のツアーでは、たっぷり5時間、シアトル市内のガーデンをまわりました。どのガーデンも、シアトル市・地域団体・企業等のサポートに加え、コーディネーターの存在やボランティアの熱心さに大きく支えられていることを実感しました。
ツアーの中で、ボランティアの一人に、「なぜこんなにシアトル市はコミュニティガーデンの設置に協力的なの?」と聞いたところ、「オバマ大統領夫人がホワイトハウスでガーデンを創ったことも一因のようよ。自治体が、コミュニティガーデンへの予算確保をしやすくなったのよ」との答えが返ってきました。なるほど~、こんなところにもオバマ効果が(!)。
シアトル市には、地域社会部(Seattle Department of Neighborhoods)という部署があり、コミュニティの活性化に取り組んでおり、その中心となるのが、P-Patchと呼ばれるコミュニティガーデンプロジェクト。しかし、行政側だけががんばっていても、コミュニティガーデンの運営はままなりません。地域社会がこのような場を必要とし、さらにそれを応援する団体や企業、研究機関があるからこそ、なりたっているプロジェクトです。
日本でも、コミュニティの問題は、年々深刻さを増しています。地域を大事にし、地域内循環を促進し、地域力を高めていく。そんな考え方と取組みを、日本でも広めていきたい!と、今回のツアーを通して、強く感じました。