月曜日の午後は、12のワークショップツアーが行われました。これは参加者の希望に応じてニューヨーク各所の公園緑地に出かけていき、現場を視察しながらNPOや市職員がその場での取り組みを説明するツアーです。
会場の外ではボランティアスタッフのジェシカさんが、ツアー名を書いた札を持って待っていました。この会議のボランティアスタッフは、さまざまな団体から集まっていて、彼女はプロスペクトパーク・アライアンス(ニューヨーク市にあるプロスペクトパークの管理運営NPO)のスタッフです(以前はヨセミテ国立公園で働いていたそう)。
私が参加したツアーは「Lost and Found : Saw Mill River Daylighting in Yonkers(失い、また見出す:ヨンカー市でのソウミル川デイライト)」。デイライトの意味は、「いったん暗渠化した川をオープンにして再びよみがえらせること」。ニューヨーク市の北に位置するヨンカー市で、大掛かりなデイライト事業が進行中というのです。
ニューヨーク市内のグランドセントラル駅から列車に乗り、約30分。ヨンカー駅に到着しました。
「あそこよ!」。ジェシカさんが指さす方向を見ると、駅のホームから、まさに工事中のソウミル川が見渡せました。
駅前で、このプロジェクトを進めてきたNPOのみなさんと合流し、さっそく川を見に行きます。
駅から出ると、もう目の前がソウミル川です。
デイライティングと大きく書かれた横断幕がかかっていました。この横断幕を見るだけでも、このプロジェクトに力を注いだ人たちの誇りと喜びが伝わってくるようです。
ソウミル川は全長約30㎞。上流のチャパカ市(Chappaqua)からヨンカー市まで12の市町を流れ、ヨンカー駅の下を通ってハドソン川に注ぎ込みます。ヨンカー駅の向こうに見えるのが、ハドソン川。デイライトした部分は下流部の河口部分に当たります。
上流から流れてきた川が、ここからデイライトされ、大きな音を立てながらかなりの水量が流れ出していました。
かつてのソウミル川では、この豊かな水量を利用した水車を動力とし、たくさんの製粉工場があったそうです。木材も水運で運ばれ、燃料や建材に加工されたとのこと。これが、川の名の由来です(Saw:のこぎり、Mill:製粉場)。
その後都市化が進み、ソウミル川には下水が流れ込み、ゴミも捨てられるようになりました。コレラ発生のおそれがあるとのことで、1920年代に川は河口から約7㎞が暗渠化されることに決定。川の上は長い間、駐車場になっていました。
この写真、真ん中の広場が、駐車場だったところです。ここを全部引きはがしたのですから、すごいプロジェクトですね!
次のブログでは、この大事業が実現した経緯について、紹介します。
(佐藤留美)