タイムズスクエアといえば、「ニューヨークの危険地帯」の代名詞となるほど、危ない場所だったところです。ブロードウェー、七番街、42丁目通りで囲まれた狭い三角地帯をいい、1904年ここにニューヨーク・タイムズ社が移転してきたため、この名がつきました。特に60~70年代はドラッグや風俗業などの温床となっていましたが、その後ニューヨーク市民の努力により、安全で楽しいエンターテイメントプレイスとしてよみがえりました。
たくさんの人の力を集めて、タイムズスクエアをよみがえらせた中心となったのが、タイムズスクエア・アライアンス(Times Square Alliance http://www.timessquarenyc.org )です。代表のトンプキンズさんにお話を伺いました。
タイムズスクエア・アライアンスの理事は、映画界やニューヨークタイムズ、ディズニーや銀行など、業界の大手各社が名を連ねています。トンプキンさん自身は、なんとパートナーシップフォーパークス(Partnership for Parks)の設立者だそうで、公園関係、経済、マスメディアと、たくさんの経歴をお持ちでした。
タイムズスクエアは、ニューヨークの心臓部。これらたくさんの人々が、この地を文化やライフスタイルの発信地となるよう、エネルギーを注ぎ込んでいるのですから、変わらないわけがありません。
そういえば、私がニューヨークに来る前、タイムズスクエアの話題が日本のマスコミでもとりあげられていました。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2885316/9150281?pageID=2
*アライアンスのサイトにも写真がのっています。必見!
http://timessquarenyc.org/events/solstice-in-times-square/index.aspx
トンプキンさんによると、タイムズスクエアはまだまだ変わるとのこと。改修工事のお知らせサインが各所に出ていました。ちなみに、写真にうつっている舗道はこれから剥がして、もっとすてきな歩行者専用道路に作り替えるそうです。
24時間、人通りが絶えることないタイムズスクエアの交番は、とってもポップなデザインで、目を引きます。
それに負けないぐらい目立っているのが、米軍のリクルートステーション。
そしてここにも、「座る」場所が各所につくられています。サインには「フリー&オープン。パブリックシーティング(公共の座る場所)」とあります。誰でも、安心して座れますね!
トイザラスの前は、着ぐるみ人形がいっぱい。
キティちゃんもいました!
大きなスクリーンに向かって、みんなが手をあげたり写真を撮っています。なにかな・・?
自分たちがうつっているんですね! (私の姿を見つけた人には、NW土産を差し上げます♪)
同じスクリーンにうつっていることで、その場にたまたま一緒にいる人たちと一体感を味わえる、粋な仕掛けです。
スクエア中央には、こんな階段がありました(下はチケット売り場でした)。ここも自由に座れる場所で、たくさんの人たちに埋め尽くされています。こんなに人がいるのに、ぎすぎす感がなく、知らない人たちと一緒にいることが楽しい!という気持ちになるのは、なぜでしょう。
精力的に語るトンプキンさん。タイムズスクエアでは、前述の何千人ものヨガ教室をはじめ、市民の健康と暮らしに役立つイベントを次々に編み出しているとのこと。
タイムズスクエアを行きかう人たちが、とってもハッピーに見えるのは、彼らのプロジェクトが、「人」を軸に考えられているからなんだ、と合点がいきました。
ワシントンスクエアのある4丁目通りからはじまり、終点のタイムズスクエア、42丁目通りまで、4時間をかけて一気に歩いたスペシャルツアー。
どのスクエアも、熱意あるNPO団体が、どこよりも魅力的な広場にしようと、たくさんのパートナー、たくさんの資金を集めて、がんばっていました。そしてその手法もとってもストラテジック! 結果として、公園に来る人たちが元気になり、そうするとまちが生き生きと元気になって、プラスのスパイラルが始まる。あのリスキーなニューヨークは、もうここにはありません。
公園や広場に、人々がなにを求めているか。座ったり、おしゃべりしたり、食べたり飲んだり、一緒に遊んだり、出会いの場になったり・・今日見学したすべての場所が、「コミュニケーション」を軸にデザインされていました。
つくる側の都合ではなく、つかう側のニーズをどうつかんで、実現するか。そしてそのニーズは、世界共通だと思います。ほんとうに学びの多い、感動のツアーでした!
(佐藤留美)