ニューヨークで公園緑地に関する国際会議「Great Parks, Great Cities」が開催されたのは、2001年のこと。セントラルパークに隣接するアメリカ自然史博物館を拠点に、世界中からグリーンスペースに関係する行政、市民、造園設計士、企業などが一堂に会する、大きなイベントでした。
この会議を主催していたのが、Project for Publicspaces(PPS http://www.pps.org/ )。私はこの会議に参加したことでPPSの存在を知り、そのミッションに感動して、2年連続で会議に参加しました。
PPSは、公園や広場など、公共のオープンスペースを、コミュニティの人々の力でもっと素晴らしい場所に変えていこう!というミッションのもと、「プレイスメイキング」という考え方を打ち出し、世界各国でプロジェクトやトレーニングを行っている団体です。
PPSが設立されたのは1975年。いまでこそ公共空間と市民参加が語られるようになりましたが、そもそも公共空間は行政が整備し管理するという考えが強かった時代ですから、設立者はよほどの先見の明をお持ちだったのでしょう。
それでも、つい10年ぐらい前までは「プレイスメイキングの話をしても、宇宙人の言葉と思われるぐらい、わかってもらえなかった(フィル・ミリック副代表談)」とのこと。
それがこの数年でPPSの考え方はすっかり広がり、いまや、世界40か国、米国内だけでも50の州、全部合わせると2,500の地域でPPSのプロジェクトが行われています。
さて、そのようなわけで、いつかは直接話を聞きたい!と思っていた、念願のPPSを訪ねることができました。今回はbirthスタッフのために、特別のグループトレーニングを組んでもらっているのです。トレーニングのタイトルは「How to Turn a Place Around。活気のない公共空間を、どのようにしたらいきいきさせることができるのか?ということです。
この日、私たちを待っていてくれたのは、副代表のフィル・ミリック氏と、同じく副代表のイーサン・ケント氏。再会3度目のフィルは、いつでも親切でジェントルマン。トレーニングの間中、私たちが理解しているかどうかを確認し、ときどき質問タイムを入れるなど、終始気遣って進めてくれました。
まずは、トレーニングがはじまるまえに、birthの事業を紹介しました。「日本でもこんなプロジェクトが始まっているんだね!」とうれしそう。
その後、イーサンによる「プレイスメーキングの基本」では、どんな場をつくれば、人々を居心地よく過ごしやすいかについて、PPSのノウハウがぎゅっと詰まったプレゼンテーションがありました。
ニューヨークは、この10年でとても変わったそうです。その変化を見に行こう!ということで、ランチは外へ出て、近くのワシントンスクエアへ行くことにしました。
PPSの事務所周辺は、大きな彫刻が置いてあるちょっとした広場になっています。いまはがらんとした空間ですが、今後は、マーケット(市場)を開催したり、歩行者が歩きやすくするため、市とPPSが再整備の計画をすすめているそうです。
ワシントンスクエアにつくと、すごい人、人、人!! 実はここも、以前は誰も寄り付かない荒れて危険な公園だったそうです。そんなことが信じられないぐらい、みな笑顔で楽しそうに過ごしていました。
花もいっぱいです!今回ニューヨークに来て、公共花壇がとてもきれいなことに驚きました。宿根草を中心とした美しいデザインを、まちの各所で見ることができます。
そんなワシントンスクエアで、ランチしながらディスカッションする私たち。
以前の都市計画では、人が集まるとよからぬことが起こるからと考え、座ったりくつろいだりしにくいデザインにしていたり、あるいはデザイン重視で人々の居心地の良さを考えない場づくりが多かったそう。けれど、プレイスメーキングの考え方が浸透して、ニューヨークの公園は見違えるように人が集まり、安全で楽しい場になったとのことでした。(私たちもその後、市内の公園や広場、街路を歩く中で、実感しました!)
午後は、また事務所に戻り「同じ場所をマルチユーズ(いろんな使い方)する方法」や「市民参加で公共の場所を一緒に評価する方法」、さらにホームページで展開するプロジェクトなど、具体的な手法をたくさん教えていただきました。
PPSのノウハウは、日本に持ち帰りたいものばかり!次回は、フィル、イーサンを日本にお招きしたいと思います。
佐藤留美
真夜中の東京からこんばんは。
ただ今、生物多様性定例会終了(アフターも含めて)。
birthのスタッフブログ楽しすぎる!
帰国されたらみなさんのお話楽しみにしています。
一つでも多く日本でも実現できるようにします。
清田 | 2012年6月27日 01:11