平成24年5月11日。歌舞伎の猿之助が浅草で襲名披露を行いました。この時、沿道からは「澤瀉屋!」という掛け声がかかっていました。「澤瀉」=「オモダカ」と読みます。
このオモダカというのは、湿地に生える植物です。お正月のおせち料理に入っているクワイは、オモダカを食用に改良したものです。
狭山丘陵には、三種類のオモダカがあります。オモダカ、アギナシ、ヘラオモダカです。
オモダカは矢じりのような葉っぱが特徴の植物で、田んぼの中にあります。田んぼのように泥を掻き回されるような環境を好みます。因みに、狭山丘陵最大の水田である宮野入にはなぜか?ありません。
アギナシも葉っぱは矢じりのような形をしています。オモダカと異なり、攪乱される環境を好まず、田んぼの奥の湿地帯にあります。珍しい植物で、環境省が準絶滅危惧種に指定しています。
ヘラオモダカは、その名の通り、「へら」のような形をしています。休耕田の中で見つけることができます。オモダカほど攪乱を好みませんが、数年に一度くらいの攪乱がないと消失してしまいます。
オモダカ、アギナシ、ヘラオモダカ。
いずれに夏に白い色の花を咲かせる面白い植物です。
あまり目立ちませんが、ぜひ今年の夏は湿地の中を観察してみて下さい。
きれいに花を咲かせていたら、こっそり「澤瀉屋!」と声をかけてやって下さい。
花を揺らして応えてくれますよ。