(8/27①の報告はコチラ)
ヨセミテキャンプ4日目の午後。
午前中の野鳥観察に続き、午後は蝶の観察会に参加する事にした。
キャンプファイヤーではギターも弾いていた。インタープリテーション(以下、IP)自体はとてもベーシックなのだが、生き物好きにはど真ん中の内容である。
野鳥の解説も相当詳しいと感じたが、午後はチョウ(蝶)の観察。一日でこの2つのテーマをこなす、このレンジャーは本当にベテランで、引き出しも多い。
始めは、野鳥観察の時と同様に自己紹介から始まった。午前中の野鳥観察で、カレンとはだいぶ打ち解けてきていたので、「今日は日本からレンジャーがきているのよ」と、自分たちを紹介してくれた。
自分は、大きいものを全員に見える様に話す。
カレンは小さいものを最初は自分の手にとって話すが、その後に参加者に回していくのだ。
小さくすれば沢山持っても重く無いし、手元でじっくり見られる。ごく当り前な事なのだが、自分にない使い方と考え方だった。
また、カードの裏面には、そのチョウの生態、分布、見られる時期などが手書きで書かれている。時々「?」マークが書かれている項目もある。おそらく、この情報は図鑑のまる写しではなく、カレン自身が長年の観察で得た情報をもとに、この場所で見られる生態的な情報が書かれているのだろう。手法としてはベーシックなのだが、こういう所がキラリと光っている。
実際に観察会を行った事のある方ならこの写真を見て分かると思うのだが、話すときの立ち位置や場所というのはとても大事である。暑い日は長時間、参加者を日にさらすのは良くない。これまでのプログラムでは「防寒や暑さ対策も自己責任で」というスタイルが多く、それが海外流と感じていたが、カレンはそういうところにも気を配るレンジャーだった。
ジョン・ミューアトレイルを歩いてここまで来たというご婦人。背中には60Lくらいあろうかというザックを背負っている。カレンが紹介した花を、重いザックを背負ったままで観察している。ヨセミテでは、参加者たちの参加形態も実にさまざまだ。
なかなかチョウが現れない。そのため、もし見かけた時にはどんな一般的なチョウでもひたすらじっくりと観察をする。参加者たちも非常に熱心だ。仮に普通種でも参加者を飽きさせない情報量がカレンにはある。
参加者の一人が変わった石を見つけていた。どうやら地質的にヨセミテの物ではないかもしれない、という結論であった。参加者たちも気兼ねなく色々な質問をレンジャーに投げかける。
観察会の中で見られたタテハチョウのなかま。日本で見られるアカタテハと雰囲気が似ている。今回の参加者の中で、カメラを持っているのは自分たちだけであったのだが、海外の方たちは写真よりも観察を大事にしているためか、良い双眼鏡は持っていても、カメラはあまり持ち歩いてない様に思える。カレンがチョウの識別点について翅の模様の解説をしていたので、写真を撮って見せた所、とても喜んでくれた。
2時間の観察会だが、あっという間に時間が過ぎた。目的のチョウはあまり見られなかったが、参加者もレンジャーとの会話や、生態的な話に満足の様子であった。プログラム中でのやり取りもあり、カレンとはだいぶ打ち解けることができた。プログラム終了後に、ヨセミテのレンジャーにしてみたかった質問をしてみた。レンジャーの一日の動きについてである。
しかし、なかなか意図が通じない。今日のプログラムのスケジュールは?という意図に捕らえられてしまう。地面の砂にスケジュールの円グラフを書き「自分のレンジャー業務はこんな予定なのだけど、カレンは?」必死に伝えた所、なんとか通じた。
大まかにいえば、レンジャーのミーティングや、夜のキャンプ場の巡回(食糧の保管などクマ対策がきちんと取られているか等の確認)、プログラムの準備などであると、話してくれた。自分たちと、それほど大きくは違わないという印象を受けた。
最後に、「あなた達にあえて本当に良かった。日本に来ることがあれば、ぜひ立ち寄るわ」と言ってくれた。
言葉があまり話せない現地レンジャーとのコミュニケーションは、自分にはなかなかハードルが高いと感じていたが、良い機会に恵まれる事が出来た。ヨセミテに居た5日間のうち、彼女によるプログラムに最も多く参加した事になるが、今思えばとても幸運であった。
カレンが日本に来た時には、今度は自分が彼女に色々な事を説明できるようにしたい、と強く思った。