(8/26の報告はコチラ)
キャンプも4日目になった。これまではメンバー5名での行動が多かったが、今日は2手に分かれて行動する事にした。
Mt.ホフマンへ登山に行くグループと、キャンプ場近くでレンジャーによるガイドを受けるグループに。もちろん、私は後者のグループだ。
今日のレンジャーによるプログラムメニューを見ると、午前中には野鳥の観察のプログラム、午後には蝶の観察のプログラムがあった。その他のプログラムもあったが、時間が重なってしまうため、この2つにしぼって参加する事にした。
集合場所のランバートドーム下で待っていると、担当レンジャーが自転車でさっと登場した。ベテランの女性レンジャーである。あとで分かった事だが、初日のキャンプファイアーを担当した、レンジャーのカレンさんだった。
最初にカレンの自己紹介の後、参加者全員の自己紹介、どこから来たか等の話から始まった。この辺りの流れも、少数参加のプログラムでよくやる手法だ。自身の自己紹介の中で、日本から来たと話したため、観察会の中の場面ごとで「日本にはこの鳥の仲間はいるの?」などといった投げかけを色々してくれた。
8/26に体験した、マーガレットのインタープリテーション(以下IP)が音楽や情景、世界観を広げる芸術肌のIPだとしたら、カレンのIPスタイルはある意味、もっともスタンダードなIPである。その場その場で見られる野鳥を、生態、特徴、時期、分布などを踏まえて的確に説明してくれる。カバンと背中のすき間には分厚い図鑑が入っていて、姿が見えない鳥や、より詳しい解説が必要な時には、さっと図鑑が出てくる。これがカレンのIPスタイルだ。
ある意味、すごくベーシックなのだが、野鳥の事をしっかり知りたい、バードウォチングを目的に参加した人にはこれが的確でわかりやすい内容なのだと思う。
カレンの凄い所は、この場所における野鳥の出現状況を非常によく把握している所だった。ほとんど毎日見ているのだろうと推測される。「この場所では、良く○○が見られるの」といった矢先に、その野鳥が現れる。そんな事が観察会の中で数回あった。
日本でも山地の針葉樹林帯などで見られるイスカという鳥がいる。実は私はまだ見た事がなかったのだが、まさかヨセミテで見ることになるとは思ってもみなかった。非常に興奮してしまった。
嘴が左右にずれて重なっており、このくちばしを松かさに挟みこみ、中の種を食べるという面白い生態がある。ヨセミテでもちゃんとマツにとまっていた。
枯木にとまっていたキツツキの仲間。翼の内側が赤い。日本では見かけない種だ。
ソーダ・スプリングという湧水のポイントでは、この場所が発見された時のエピソードなども解説された。野鳥だけでなく、場所のガイドもきちんとしてくれた。
2時間の観察会の後に、自分も日本のレンジャーである事を話すと、とても驚き、ヨセミテに訪れた事、観察会に参加したことを喜んでくれた。マーガレットの時と同様に、birth蜂須賀レンジャー部長の写真集「東京里山物語」を渡すと、「とても綺麗な場所ね。日本のどこなの?」と聞かれたので、「狭山丘陵、日本のアニメで、トトロは知っている?そのモデルになった場所ですよ」とお話したら、「娘が大好きなの」と喜んでくれた。
午後の蝶の観察会もカレンが担当という事だったので、また後ほど会う約束をし、しばしその場を離れることにした。
カレンは決して暇ではないと思うのだが、言葉がろくに通じない自分たちにも、言葉の足らない質問を必死に理解しようとし、話に付き合ってくれた。ヨセミテのベテランレンジャーは皆、博識で誠実、そして何と言っても格好良い。彼女の格好良さはうわべの物でなく、人としての誠実さとレンジャーとしての経験の深さ、誇りから来るものと感じた。