レンジャー部の大畑です。
ご報告が大変遅くなりましたが、8/23~8/31にかけて、サンフランシスコ経由でヨセミテ国立公園に行ってきました。現地ではインターネットが使えず、絵葉書とメモで記録を残しました。
帰国後もドタバタで報告が遅れてしまいましたが、改めて少しずつヨセミテ報告の続きを書きたいと思います。
今回のヨセミテ企画は毎年、環境教育事務所カラーズの西村氏が呼びかけて行われている少数のキャンプです。
私は現地のレンジャーに会って、インタープリテーションを体験し、コミュニヶーションをとる事が今回のキャンプの目的でしたが、参加者の皆さんはそれぞれ色々な目的を持って毎年参加されていいるようです。
今回は私と、同業者の方、記者さん、会社員の方、コーディネーターの西村氏の計5名でのキャンプでした。
8/24(水)
前泊していたバークレーのホテルから、ヨセミテ国立公園にむけて出発。
目的地は、TUOLUMNE MEADOES CAMPGROUND(トゥオロミーメドーズキャンプ場)です。
ヨセミテ国立公園には何箇所か宿泊施設やキャンプ場などの拠点となる場所があります。
私たちは今回、ヨセミテ国立公園内の北西に位置するトゥオロミーメドーズを拠点に、テントで5日間過ごすこととなります。
バークレーからは車で約5時間の道のりです。
出発して暫くは街中(と言っても郊外)の風景でしたが、みるみる道路が広くなり、車線が増え、(片側3~4車線!)大きな車が行きかうハイウェイに出ました。
かと思えば、少し田舎に行くと「これはハイウェイ?」と思うほどの道に出たりもします。
車から見える周りの景色も日本のとは大違い。
乾燥し、沙漠のようです。
バークレーから数分で荒涼とした風景が広がりました。
途中、マンテカという町を経由し、ファーマーショップで果物とサラダを購入しました。お店のおばちゃんは、漫画に出てきそうな優しい感じの女性でした。店内を眺めていると、「食べて見る?」と、ストロベリーとプラムをナイフで切って、差し出してくれました。甘みと酸味が絶妙。さすがにカルフォルニア州のフルーツは美味です。
レジでは、「日本語でさよならは何ていうの?」ときかれたので、「さよなら」を教えた所、「さよなら」と言ってくれました。
ひたすら車を走らせ、13時過ぎにヨセミテ国立公園のエントランスにつきました。
公園入口に着いてからも、キャンプ所まではまだまだ道のりがあります。
風景を見ながら、しばらくドライブです。
トゥオロミーに到着後、昼食をとり、まずはビジターセンターを見学し、書籍などを購入しました。
最も観光客の多いヨセミテバレーと比べると、こじんまりした造りです。
ビジターセンターにいたスタッフはナショナルパークサービス(以下、NPS)のレンジャーでは無く、NPSをサポートしているNPOの、ヨセミテコンサーバンシーのスタッフたちでした。この2者の関係について、後ほど報告したいと思いますが、国立公園局だけではできないことをNPOが独自に取り組み、補完するという、とても良い関係がありました。
キャンプ場に入ると、地図とプログラムの予定などが書かれたペーパーと、注意書きを渡されます。
ヨセミテのキャンプ場ではブラックベアによる被害を起こさないようにするため、食糧や日焼け止め、歯磨き粉など熊を誘引する物に関して、保管管理について、鉄製のボックスにしまってロックしなければならないという決まりがあります。実際に、テントや車の中に食糧を入れると熊がそれらを破壊して中の物を食べてしまうようです。
このルールを破ると、$500の罰金が課せられます。
日本でもキャンプ場にツキノワグマが出没し、射殺されてしまう様な事例もあります。
原因の一つにゴミや食糧管理の問題があげられます。
ヨセミテの場合は、そこに来る全員が当たり前のこととして、食糧保管のルールを守り、ゴミも占用のダストボックスに入れられます。
また、夜は10時以降の談笑などは禁止されています。
自然との接し方、自然の中でのマナー、当たり前の事をきちんと皆が守ろうと言う意識があり、それを破る人たちはいません。日本のキャンプ場とは大違いです。
こういった設備が充実していますが、それだけの問題ではありません。
結局はそこに居る人たちの意識の問題なのです。それを強く実感しました。
15時を過ぎていたため、キャンプの設営と現地での食糧買い出しを終え、夕食の準備の前にこれから5日間の予定を皆で相談しました。概ね全員で国立公園内を車とハイキングで回る行程になるのですが、自由時間では、私と同業者の方の2名はレンジャープログラムを中心、ほかの2名はハイキング中心になるようなことで決まりました。
夕食までの時間は、周辺散策をしました。
景色は、どこもかしこも荒涼としていて、空が真っ青で、乾燥している。何もなさ過ぎて、雲が通るとそこが影になります。
夕食を終え、キャンプファイアーのプログラムの時間に間に合うので、初めてのレンジャープログラムに参加しました。
火を囲み、レンジャーによるインタープリテーション(以下、IP)や、ヨセミテのエピソードなどを踏まえたギターによる演奏などがされました。言葉が分からないのですが、自然の話だけではなく、ブラックベアと人との軋轢の話、ネイティブアメリカンの話など、人と自然との関わりに焦点が置かれた、レンジャーらしい内容だったと思います。途中、ギター演奏をしながら皆で歌ったりと、場を盛り上げる工夫もありました。
今回の滞在中、キャンプファイアーには何度か参加しましたが、話し手のレンジャーによってかなり内容のばらつきがあります。この時は気づかなかったのですが、初日のキャンプファイアーは、後にコミュニケーションをとることができた、カレンさんというベテランレンジャーの回でした。振り替えると、全日を通してベテランである彼女のガイドを最も多く参加したのですが、偶然とはいえ、それは幸運なことだったと感じます。
カレンとの交流については、後ほど触れたいと思います。
キャンプファイアーを終え、続いて「レンジャートーク・スターズ」に参加。
キャンプ場近くにある、ランバート・ドームという丘から、星空観察を行うプログラムでしたが、標高2000m以上あるキャンプ場は、夜には気温が5℃前後となり非常に冷え込みました。
プログラムの案内シートをよく見ると、持ちものには「暖かい服装、お尻に敷くマット」と書かれているのでしたが、何も持たずに行ったため、非常につらい思いをするはめに。
日本で同様のプログラムを受けると、毛布や防寒具の用意をしたりと、主催者側の配慮があることがありますが、ここではすべて至れり尽くせりというわけではありません。雨が降ればプログラム中止が当たり前(但し、ヨセミテで雨は殆んど降らない)、基本は自己判断で自己管理というのが、普通なのです。
一時間の星空観察では、神話や宇宙の話しになっていた様ですが、自分には言葉は分からず、寒さとの戦いでしたが、日本のどの山の頂上でも見られないほどの星の数でした。
プログラムを終えたとき、体は冷え切っていました。
ここには、暖かいお風呂があるわけではありません。暖かいお茶を入れ、体を温めてから持っている物全てを重ね着して、テントの中で初日の夜を終えたのでした。
まだヨセミテ初日。しかし写真は数百枚撮っていました。
明日が楽しみで仕方ありませんでした。