午前中にアルバートパークを訪れたあと、メルボルン市役所へと向かいました。
今回は、市役所の職員に、メルボルン市がいま抱えている大きな問題、「都市林」についてお聞きします。
タクシーに乗って、フリンダース・ストリート駅を通り、
ダウンタウンへ向かいます。
まちなかの中心に、メルボルンシティカウンシル(市役所)の建物がありました。
People&Tree Foundationのジャッキーさんが、ここまで案内してくれました。
入口も受付もとってもおしゃれ!市役所とは思えない?
なんとこのビルは、
「6greenstar」
6つ星のエコロジカルなビルとして認定されていました。
市役所のスタッフが迎えに来てくれて、通されたミーティングスペース。
迎えてくれたのは、ツリープランティング(植樹)チームリーダーのリンクさん。
プレゼンのタイトルは「都市林の戦略(Urban Forest Strategic)」。
Unprecedentedとは、「空前の」という意味。
彼らは市内の樹林管理に、大きなビッグチェンジを検討しているようなのです。
そのわけは、大きく二つ。
雨量が少なくなり、市内の平均気温が極端に上がっていることで、特に高齢の樹木が弱っていること。
また同じ種類の樹木が同じ時期に植えられていることで、一度に高齢化が進んでいることから、都市の樹木はとても危険な状態にあるというのです。
市内の樹木の30%が10年以内に枯れてしまい、さらに48%が20年以内に枯れてしまうとの調査結果が出ているとのこと。なかなか衝撃的な数値です。
これをシュミレーションしてみると、現在は樹木が生い茂っている街路が・・・、
こうなってしまう!
そこで、樹木の大規模な植え替えが検討されており、次のような方針が定められています。
1. 気候の変化を和らげ順応させること。
2. 都市のヒートアイランド化を減らすこと。
3. 人々が健康で生き生き暮らせるデザインとすること。
4. 健全な生態系を創造すること。
5. 水循環を大切にすること。
6. メルボルンが都市林管理のリーダーの役割を担うこと。
7. メルボルン独自の文化的を保ち高めること。
そのための戦略として、都市林の種の多様性を高めるとのこと!
同じ種は5%以内、同じ属は10%以内、同じ科は20%以内と、細かく定められています。
さらに屋上や壁面の緑化もすすめ、City in a forest(森の中にあるまち)を目指す、メルボルンの都市林計画をひととおり聞かせていただきました。
こちらからの質問として、大きく育った木を切る場合、日本では必ず反対の声が上がるが、こちらではどうかと聞いたところ、やはりそういう声はあるが、時間をかけて話し合いをするとのことでした。調査結果があり根拠があり、方針があるので、ほとんどの人が納得するだろうと思います。
次に、都市計画担当チームのリーダー、フェネシーさんより、「水管理」についての計画を紹介いただきました。
日本では考えられないほど、こちらは乾燥が激しいそうで、特に街路樹にとっては大問題とのこと。そこで、樹木を植えるときには、根元に水が溜まるように、こんなふうにするそうです。(人が落ちそうですが・・)。
また市役所から徒歩10分ほどのところにある、フィトロジーガーデンでは、大きな貯水槽を建設しているそうです。
プレゼンをひととおり聞いたあと、6つ星ビルの屋上に案内してもらいました。あちこち屋上緑化がなされています。
屋上にある植物はこんな種類。
外に出ると、さっそく街路樹に目がいきます。あ!根元に水が溜まる街路樹を見つけました。人がつまづかないように、柵がしてありました。
ん?これは・・?木は大丈夫なのかな・・と思いますが、ここでは乾燥を防ぐために浸透性のある素材を使って根元をカバーしているとのこと。国が変わると、こんなところも違うんですね!
(佐藤留美