この時期、里山の道を歩いていると薄暗い林の中で綺麗な紫色の花の群生を目にします。ムラサキケマンです。やわらかな緑色の葉と薄紫の花がなんとも美しい山野草です。
さて、このムラサキケマンという名。
ムラサキは、花の色だとわかりますが、「ケマン」とはどういう意味でしょうか。
漢字で書くと「華鬘」。
仏堂に飾られている荘厳具の事だそうです。
もともと古代インドでは花を紐で連ねて装身具をこしらえ、貴人に捧げる風習があったそうです。その装身具をサンスクリット語で「クスマ・マーラー」と呼んでおり、これが仏教と共に中国に渡り、「華鬘」となりました。
つまり、ムラサキケマンの名は、貴人の装身具を起源にしているのです。
そう言われてみると、花や葉の形が細工物のようであり、色合いにも気品があります。
誰が名づけたのか「ムラサキケマン」。
なるほどって感じです。
さて、最後にもう一つ。
この植物の葉、とても美味しそうに見えますが、ゆめゆめ食べようなんて気を起こさないように。結構な毒があり、食中毒を起こします。
美しい花には毒がある。そして貴人にも、ということでしょうか