早春の一時期だけ姿を現し、すぐに消えてしまう植物や昆虫をスプリング・エフェメラルと呼びます。カタクリ、アズマイチゲ、ヒロハアマナ。ミヤマセセリ、コツバメ、ツマキチョウ、ギフチョウなどです。スプリング・エフェメラルの命は長くて10日程度。短く切ない命です。それ故なのでしょうか。とても可憐で美しく、ガラス細工のような繊細さを具えています。
その繊細さが人々の心を魅了するのだと思います。
写真はヒロハアマナです。
コナラの雑木林の林床にひっそりと咲いていました。際立った花を咲かせるわけではなく、良い香りを発するわけでもなく、音を出すわけでもなく、ただ、風に揺れるばかりです。
花のそばに座らせてもらい、花が風に揺れるのをただ眺めていると、やがて春の妖精が語りかけてきます。
さて、春の妖精は何を語ったのでしょうか?
それは内緒です。
みなさんひとり一人が聞いて下さい。