人間の体の中には、上尸・中尸・下尸の3種類の虫(三尸)が住んでいるそうです。
大きさは2寸、約6センチ。
人間が生れ落ちるときから体内にいるそうです。
この虫が、60日に一度の庚申の日に体から抜け出し、その人の罪悪を天帝に告げ口にいく。罪悪のある人間は、天帝に命を縮められてしまいます。
「そりゃ~まずい」
※瑞穂町石畑にある庚申塔
そこで虫が告げ口をしに行けないようにするため、庚申の夜は眠らずに過ごすようになったそうです。しかし、一人で眠らずに夜を過ごすのは難しい。そこで、「庚申講」とよばれる集まりをつくり、会場を決めて集団で夜を過ごすようになりました。
そしてこの庚申講を3年18回続けた記念に建立されたのが庚申塔だと言われています。
考えてみると、この庚申信仰というものは、とんでもない事を信じ、とんでもない事をしていたような気がします。が、実際、どこまで信じていたのかは定かでありません。ただ、60日に一度、近隣の信仰する者たちが集まり、夜通し宴を開いていたようです。
つまり、庚申講を現代風に解釈すれば、「飲み会」ってヤツで、その集まる理由が庚申信仰であり、その根源には、3匹のちんこい虫がいるわけです。
今でこそ、道端にある目立たない石塔ですが、その建立の背景には、いろいろな物語や想い出、地域をまとめる仕組みが見え隠れします。
ただ、ぼ~っと、つっ立っているわけではないのですね。
改めて、日本人の知恵・歴史文化の深みに圧倒されました。