曇っているのに、日が差し込んでいる。
刻一刻と天候が変わり、なんとなく不吉な予兆を感じる。
心が動き、落ち着かない。
「そんな時は、狐の嫁入りなんだよ」
母からそう教わりました。
小さい頃に遊びに行った神社の境内には、小さな祠があり、その両脇にはお稲荷さんが座っていました。
このお稲荷さんが怖くて、怖くて...。
お稲荷さんの真ん中を通ることができずに、後ろをぐるりと回って祠までいきました。
不安な気持ちになったり。
心が動いてしまったり。
怖かったり。
人は時々、分けもなく情緒が不安定になります。
そんな不安な気持ちを支えてくれるのが狐です。
つじつまの合わない話。
答えの出ない話。
理由がわからない現象。
「狐のせいだよ」
と教えられ、「そうか!」
と納得してしまう。
昔は、誰もが心の中に狐を一匹飼っていたのだが、最近はどうなんだろう?
私の心の中には、まだ狐がいます。
あなたはどうですか?