先日、NPObirth で作成したメッセージ写真集「東京里山物語」もうごらんいただけましたでしょうか?
狭山丘陵の自然の素晴らしさと、都立公園での里山作りを、レンジャーが撮りためた4年半分の写真から構成したこの本。COP10での配布も考え、すべての文に英訳が付いています。これが素晴らしい!その中でもとっておきの一文を紹介します。
心の底へ訴える「生物多様性」の価値、美しい風景を9枚の写真と短い言葉で綴った春の章で、5、6枚目の写真についた言葉 「何万年も人はそんな風景を探し、探し当てては生きてきました。」
その「探し当てては生きてきました」を、ここでは Seraching for a full life と訳しているのです。
Full life とは、都会の生活を捨て、アラスカの山奥などで体力、知力、感性、想像力など、あらゆる人間の能力を持って、大自然と向き合って生きる人たちの生活に対し、しばしば使われる言葉です。それを訳者のStephan Suloway さんは持ってきている。
とてもきめ細かな訳なので、女性かと思っていたのですが、Stephan ということは男性か!すごいなあ。
ただ平たく訳していったら出てこない訳だと思います。物語の流れをとらえ、解説文もよく読みこみ(この写真集には巻末に、すべての写真の解説文がついています。)そこから出てきた訳、訳者の思いもこもった訳だと思います。
小学生のボランティアの男の子が、大人と同じ鍬を持ち、一心に硬い田を掘り起こしていくこの写真。隣で同じくボランティアの女性がびっくりして見ています。その力、体と、心の底からすべてを出してくるような人間の姿が、Stephanさんにも伝わったのでしょう。
心をこめた仕事に、心を込めた仕事を重ねてくる。
会ったこともないStephanさんを、抱きしめたくなるような一文です。
「東京里山物語」は狭山丘陵の都立公園などで入手できます。
多くのみなさまに見ていただけますように!