40年前に放棄され、残土で埋め立てられた谷戸。
オオブタサクなどが茂る乾燥した荒れ地。
その荒れ地は、平成20年夏、湿地帯として甦った。
平成20年秋、再生された湿地に、一株のコナギが生えた。
数十年残土に埋もれていた田んぼの土の中からコナギは再生した。
コナギは、田んぼの雑草で、一般的には嫌われているのだが、再生したコナギは、輝いて見えた。
その後も年々、湿地性の植物は数を増やし、それにともなってトンボや鳥などの種類も増えて行った。
そして今年。
湿地帯の動植物は益々増え、かっての賑わいが戻ってきた。
甦った植物の中には、全国的に減少し、絶滅を危惧されている植物もあった。
想定外の事だった。
「まさか、この植物が再生してくれるとは」
飛び上がりたいほど嬉しい。
パッと見は、どこにでもある草なのだが、再生のプロセスを見てきただけに、感慨はひとしお。
この仕事をしていて良かった。
「戻ってきてくれてありがとう!」
小さな植物に、大きな自然に報われた瞬間です。