寒い春から始まった今年ですが、5月以降、気温が高く、稲の成長は上々です。茎も太く、葉も青々と茂っています。恵みの雨のお陰で、田んぼにも活気が戻ってきました。
相変わらず多いのがイナゴ達。畔を歩くと、多くのイナゴが一斉に飛び立ちます。
そんなイナゴの一匹が、威勢良く飛び立った瞬間、稲と稲の間に張ってあったクモの巣にひっかかりました。
次の瞬間、クモはイナゴを糸で絡め取りました。
その早い事。
一瞬の刹那でイナゴは身動きできなくなりました。
気の毒なイナゴ。
慌ててクモの巣に気づかなかったのか。
イナゴにはクモの巣が認識できないのか。
それがイナゴの運命だったのか。
せっかく、ここまで大きくなったのに。
私が畔を歩かなかったらイナゴも慌てて逃げ出す必要もなかったろうに。
イナゴはクモのエサになり、クモはやがて子を生み落とし、秋が終わる頃には、やはり命を落とし、土に戻っていく運命。
ひと夏の短い時間軸の中で、命が絡まり合い、無くなり、生まれ、次の夏へつながって行く。これが「色即是空 空即是色」というものなのか?
田んぼの畦にしゃがみ込み、クモの糸に絡まれたイナゴをしばし見つめる