柔らかなみどり色の湿地の中に、あざやかな深紫の花が、くっきりと浮かび上がる。
その風景は、あたかも尾形光琳の「燕子花(かきつばた)図屏風」のようです。
この風景は、八国山緑地の湿地の中にありました。
放棄された水田跡に、ミゾソバやガマが繁茂し、湿地となっている場所です。
普段は、何でもない湿地なので、見向きもしないのですが、こんな美しい風景に出合う事ができました。
尾形光琳もきっと梅雨前の湿地帯で、こんな風景に出会い、あの「燕子花(かきつばた)図屏風」を創作したのでしょう。
それにしても不思議なのは、この湿地は、普段から行き慣れている場所なのに、今までこの風景に気付かなかったこと。
今まで花の季節に来ていなかったのか、それとも心が動かなかっただけなのか?
そういえば、今日は、珍しく時間が空き、ゆったりした気持ちで散歩をしていました。
心にゆとりがあったから、自然が囁きかけてくれたのでしょう。
美しい自然からの贈り物に、ちょっと得した気分です。