スタッフブログ

スタッフ紹介
スタッフ&インターン募集中
スタッフブログ
リンク

スタッフブログ

うつろい

2010年5月26日 /レンジャーの自然情報

ここ数日、夏を思わせるような天候が続いています。
ついこの間まで春だったのに、季節の移り変わりに着いていくのがやっとです。

カタクリなど、早春を彩った植物たちはすっかり姿を消し、アジサイの花芽が大きく膨らんでいます。

ヤマツツジ、ミズキなどの花もいつの間には終わり、代かきを待つ田んぼでは、シュレーゲルアオガエルの鳴き声が響いています。

 

この時期、山の中を歩いてると、白い花弁がたくさん落ちている光景に出くわします。

花びらの正体は、エゴです。エゴは、春と梅雨の間に咲く、白い花で、こずえに沢山の花を咲かせます。

 

100525.jpg 

さて、この「エゴ」という名前。

エゴイストのエゴではなく、実が渋い(えぐい)から来ているそうです。実の皮がサポニン成分を含んでいるためかなり渋いのです。

 

今はエゴが一般的な呼び名ですが、古来は「ちしゃ、ちさ」と呼ばれていたそうです。
万葉集にはこんな歌が詠まれています。

 

「息の緒に 思へる我れを山ぢさの 花にか君がうつろひぬらむ」

【私はあなたのことを、命のかぎり想っているのに、あなたは、ちさの花がすぐにしぼんで色が変わってしまうように、心変わりしてしまわれたのでしょうか。】

 

この歌を読むと、昔も今も、人の心は移ろいやすく、同時に、人が人を思う心は昔も今も変わらない事を実感します。

 

変と不変を繰り返しながら、自然は巡り、人も巡る。
エゴの花が、季節の移ろいを教えてくれるかのように足を止めてくれました。

NPO birth |  comments(0) |  trackbacks(0)

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL

http://www.npo-birth.org/mt/mt-tb.cgi/396