1830年、ベルギーのエンギスで、ホモサピエンスとは形状の異なる人類の骨が発見された。しかし、その正体は不明のままだった。
1856年、ドイツのネアンデル谷で再びホモサピエンスとは異なる形状の人類の骨が見つかった。この骨は、エンギスで発見された骨と形状が似通っていた。
これがネアンデルタール人である。
地元で教員をしていたヨハン・カール・フールロットは、この骨の研究に没頭した。深まる謎。フールロットは、骨を見つめては、この骨の主人がどこから来て、どんな風景の中で、どのような暮らしをしていたのかを想像した。
時代はさらに進んで2010/05/16。
狭山公園の中で、骨と格闘している男がいる。
動物の骨の前に座り、外れてしなったアゴの骨を接着剤でくっつけながら、この骨の主人がどのような暮らし、どのような原因で命が亡くなってしまったかを推測している。
この骨は、この後に始まる子供対象の環境教育プログラムの題材となる。
彼は、子供たちの前で、この骨に何を語らせるのだろうか。
子供たちはこの骨の向こうにどんな風景を思い浮かべるのだろうか。