ニュージーランドのご報告、第二回です。
前回もお伝えしたハグレーパーク、その中を流れるエイボン川です。多くの人が利用する都会の真ん中の公園。
しかしこの写真を見て何か変だと思いませんか?
変と言いますか、僕は個人的にものすごく羨ましい。なぜこれが日本の都市公園でできないの?と思ってしまう。
これはどうでしょうか?
「この道は自転車と歩行者用ですよ」といっていますが、その右には車道があり、左はエイボン川です。
そう!ガードレールもなければ、川に近づけないような柵もない。
日本の公園って柵だらけですよね。
道路もガードレールだらけ。
安全のためだというのは分かりますが、景観を壊している場合は多い。特にこういう緑の周辺なんかは考えたいところです。
ニュージーランドでは安全より景観を優先しているの?
これが大人の街、公園ということなの?
この2枚の写真を見ると、日本中にあふれている柵、フェンスは、本当に必要なのか?と思ってしまう。それは常識になっているけれど、よく考えれば、不必要なところ、他の形に改善できるところもあるのではないか?
以前、アメリカのヨセミテ国立公園へ行った時は、国立公園内へ入ったとたん、鉄のガードレールはなくなり、すべて石作りに変わりました。安全も大事だが、景観も大事ということを、きちんとお金をかけてやっている。
ヨセミテでも、ハグレーでも、たぶん、管理者も利用者も公園を愛し、大事にし、作っていく気持ちを持っているのではないか?
管理者が幼稚園の先生のように「これだめです。こうしなさい」だけではできないと思うのです。いやもしかしたら、幼稚園くらいの歳のうちから、大人たちに、公園での遊び方、川での遊び方、景観の大切さを教えているのかもしれません。なんとなく欧米は性悪説、東洋は性善説のようなことが漠然とあったのですが、柵問題に関しては逆ではないか?規制がなくても自分たちの責任、他人への配慮で、安全と環境を守っていけないのか?
どうしたら日本の公園をよくしてしていけるか?
まず自分たちの公園の問題を認識し、改革の目標を決める、ということからですよね!
これは公園内にある植物園の看板です。シンプルですね。
そして公園内には看板の絶対数がとても少ない。
日本の公園は看板がすごく多くて、商店街の中を歩いているようなところもあります。
劇的に変えなくてもいいから、「少しづつ、着実に減らすことを考えよう」と、方針を決めるべきではないでしょうか?
ハグレーパークには大きな木がたくさんあるということは、前回も書きました。
一本、一本、樹種の違う木が並んでいます。これは市内のあちこちで見られることで、おそらく150年前の入植者たちが、遠い故郷を思い、樹種の少ないこの国に、欧州の木をたくさん植えたのだと僕は思う。
でも、今もそうなのでしょうか?
若い木がたくさんあるエリアを見ると、樹種がそろっている。
ここは100年後には、素晴らしいスズカケの森になるでしょう。これを見るとハグレーパークが新しいスタイルを目指し始めていることが感じ取れる。
ニュージーランド人は、だいたいのんびりアバウトだけれど、やると決めたら徹底的にやるのだそうです。
公園作りもそうなのかもしれません。
問題に気づき、しっかりヴィジョンを立てて進むということがなければ、何もできない。
あらためてそんなことを考えてしまう、ハグレーパークでした。
(レンジャー部 蜂須賀)