2週間ほど前のこと。
里山民家に初老の男性が訪れ、質問をされました。
「裏の広場に生えている木のことだけど、ぜんぜん葉っぱも出ないし、斜めになっちゃっているし、枯れちゃっているのかなぁ?」
「枯れているわけではないのです。ただ、葉っぱが出るのが遅い木なんですよ。それに、この木は真っすぐ生えず、斜めに生えるんです。」
そう説明すると、その男性は、「ほぉ~、木にもいろいろあるんだねぇ~。俺も奥手のだったからなぁ~」と笑いながら立ち去っていきました。
さて、この木はなんの木でしょうか?
答えは「ネムノキ」です。
このネムノキ、とても個性的な木で、花は夜に咲き、葉っぱは夜になると閉じてしまいます。
花は、白とピンク色で、貴婦人が持っているセンスのような形です。
この花の美しさを松尾芭蕉は、「象潟や 雨に西施が ねぶの花 」と詠んでいます。
「きさがた」という場所で雨に濡れて咲いているネムの花は、美女の誉れ高い「西施」(中国4大美女の1人)が、瞼を閉じて眠っているかのような趣である。
芭蕉先生のおっしゃる通り、ネムの花はとても美しく、妖艶な様相です。
さて、うんちくはともかく、普段の年だったらゴールデンウィーク中には葉を出す筈のネムノキですが、今年はぜんぜん芽が出てきません。
「もしかしたら本当に枯れちゃったのかなぁ~」
と不安になっていると、一昨日、やっとのことで葉っぱが出てきてくれました。
今年は、寒かったので、葉っぱが出てくるのが少し遅くなったようです。
花が咲くのは梅雨の中ごろです。
西施の色気を放つ花。
ちょっと魅力的でしょう。
見に来て下さいね。