会議も2日目に入りました。あらためて、この会議の目的について、お伝えしたいと思います。
この国際会議では、公園を核として、自然環境と人間の心身の健康そして人生の豊かさとの関係について模索することをめざしています。
大きく、次の4点をテーマとしています。
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【Healthy Communities 健全なコミュニティー】
地域社会のつながり、文化的つながり、地域のパートナーシップや政策・計画づくり、経済、開発、観光
【Healthy Parks 健全な公園】
国土の保護、自然環境の適切な管理、持続可能性、健全な公園のデザインや整備
【Health Participation 健全な参加】
さまざまな文化や背景を持つ人々や広い年齢層の参加促進、施設・サービス、観光やレクリエーション、生涯教育、自然・文化・環境を学ぶ場づくり
【Healthy People 健康な人々】
精神そして身体の健康促進、早期治療、生活の質の向上、統合的な心の豊かさや自尊心の向上
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オーストラリア国内をはじめ、海外の研究者や専門家を招き、さまざまな切り口から総合的に公園と人間についての分科会(パネルディスカッション、ワークショップ)が行われています。
各分科会は、4つのテーマごとに色分け(青、緑、黄色、オレンジ)されています。
自分の興味に応じて、行きたい分科会を自由に決めることができます。
さあ、一斉に14の部屋で、分科会が始まりました。
午前と午後あわせて、28の分科会が開かます。
まず私が入ったのは、緑色(Healthy Park)の分科会。
ここでは、オーストラリアのナショナルパークを、先住民とのパートナーシップで守るためのノウハウについて話し合われました。
次は青色(Healthy Community)の分科会へ。
ここでは、エコロジカルなまちづくりを実現するために、地域のさまざまな人々や団体が集まり、一致団結して実現していくピッツバーグ(アメリカ)のグリーンプリントプロジェクトなど、コミュニティ形成と緑づくりの関わりについての事例紹介がありました。
オレンジ(Healthy People)の分科会に顔を出すと、偶然にも日本人らしきプレゼンターが話しています。オーストラリアのガン予防センターにお勤めの杉山さんという方でした。
杉山さんは、学術的な視点から、緑があることで人間の心身がいかに健康になるかという研究をされています。
杉山さんの次のプレゼンテーションは、ペットとコミュニティ形成との関連についての研究発表です。ペットが人々のつながりを作る大きな力となるというのです。
「Centre for the Built Environment and Health(環境と健康づくりセンター)」のリサ・ウッドさんは、ペットの飼い主に、こんな質問を投げかけました。
「ペットがいることで、ご近所の人たちと知り合うようになりましたか?」
「あなたが困った時、ご近所の何人の人にそのことを相談できますか?」
「さみしく感じることがありますか?」
すると、ペットを飼っている人とそうでない人の間に、大きな差があることがわかってきました。
例えば、社会とのふれあいといったテーマでは、ペットを飼っている人は、飼っていない人よりも、公園でほかの人達と会話する割合が高かったり、友達をつくる割合が高いなど、たくさんのよい結果が出てきました。
ペットは「アイスブレーカー(緊張をやぶる役割)」であり、ペットを通して、見知らぬ人ともあっというまに友達になれてしまうとのこと。
狭山公園も犬の散歩が多い公園ですが、確かにペット連れの人には話しかけやすいし、いつのまにかみな顔見知り、お友達になっている。そのことが、証明された調査です。
とはいえ、飼い主は公園ではきちんとルールを守らなければなりません、というお話も最後に付け加えられました。面白いなぁと思ったのが、「公式ルールも、非公式ルールも、どちらも尊重して守ること」というくだりです。
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さて、3つの分科会を渡り歩いてみただけでも、公園をめぐって実にさまざまな活動、さまざまな考え方、価値づけがあることがわかりました。
特に、公園管理や自然環境の方面だけではなく、人々の健康という切り口で公園を見直す視点は、とても新鮮でした。
この心身の健康というテーマは、これからの日本でも、大きくクローズアップされてくるに違いありません。
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さあ、一日の分科会が終わったあとは、全体会が開かれます。
ここでは4人のゲストスピーカーが大きな視野から公園を見直すプレゼンテーションが行われました。
今回、す、すごい!と思ったのは、公園の価値を、EARTHになぞらえて情熱的に語るカナダのジル・ペナロザさんのお話です。
ジルさんの情熱的なプレゼンテーションには、家の近くに公園があることはなんて素晴らしいことなんだろう!と誰もが洗脳されてしまいそうです。
以下、印象に残った言葉です。
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「すばらしい公園には、すばらしいシステムがある!そのベースになるのはコミュニティ(地域社会)の参加。コミュニティのみんなの夢を出し合って、それを実現するのがプロのアーキテクト(建築設計家)の仕事。だから、コミュニティがプランづくりの土台になるんだ!」
「公園づくりに一番必要なのはビジョン。それは公園を超えたまちづくりのビジョン。どんなまちに住みたいか、公園でなにをしたいのか。テクニックやお金は二の次なんだ。世界はドリーマー(夢創り人)を欲しがっている!」
「子どもたちの頭の中には、未来がある。子どもたちはすでに立派なアーキテクトなんだ!」
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ジルさんの胸にがつん!と来るプレゼンテーション、みなさんにも聞かせたい!
彼のすすめる8-80 Citiesプロジェクトのホームページをぜひのぞいてみてください。熱い想いが伝わってきますよ。
http://www.8-80cities.org/
「8-80シティプロジェクトは、国際的な視野を持つ、カナダを拠点とするNPOです。
私たちの目標は、活気にあふれる都市と健康なコミュニティの創設に貢献することです。
たくさんの素晴らしい公共空間があり、人々がより幸せに暮らせるまちづくりをめざします!
(ホームページより)」
*Healthy Parks Healthy People会議公式ホームページ http://www.healthyparkshealthypeoplecongress.org/
*翻訳協力(Healthy Parks Healthy People会議の目的):小野いづみさん(オーストラリアビクトリア州政府)
素敵なキーワードがたくさん!!ですね^^
HOTなレポート、ありがとうございます♪
私もことしは、どこかまた海外行きたいなあ。。。
バースで研修ツアー、やりませんか??
fuming | 2010年4月17日 06:02