昼過ぎから降りだした雨は、次第に雨脚をつよめ、さくらで満開の公園を冷気に包みこみました。
花見を楽しんでいた多くのお客さんも蜘蛛の子を散らしたように、どこかに消えてしまいました。
さくらが咲く頃の冷え込みを「花冷え」と言います。
自然の摂理とは言え、恨めしい冷え込みです。
誰もいなくなった公園を歩いていると、さくらの木の下に、傘が見えました。
あれ!
近づいてみると、なんと花見客が残っていました。
「何もこの寒い中、傘をさしてまで花見でもないだろうに。」
さらに近づいてみると、年配の男女4名がとても楽しそうに談笑しています。
雨を気にするわけでもなく、寒そうにしているわけもなく、とても楽しそうです。
「花冷えの闇にあらはれ篝守(かがりもり)」
温かい気持ちにさせられました。