会議も中盤に差し掛かりました。
4日目は、なんとスタートが朝7時!いったいどんな会議なのかと思ったら・・・。
その名も「リーダーシップ・ブレックファースト会議」。みんなで一緒に朝食をとりながら講演を聞くというスタイルです。大きな会場いっぱいに、たくさんのテーブルがあって、ウェイターが給仕しています。
パンやキッシュ、フルーツなどメニューも充実していて、おなかいっぱいになりました。
講演の内容は、都市化や自然とのつながりが希薄になっている現在、人々が健康になるにはどんなチャレンジが必要か、という話題でした。この朝の会議のスポンサーはmedibank(メデバンク)、健康に関するコンサルテーションを行う保険会社です。
話題の中に、身近に緑地があるとないでは、体重が6キロも変わる!とう具体的なデータもありました。欧米では、緑の効果と人の健康の関わりについて数値的に証明する研究が盛んに行われています。
さて朝の会議が終わると、今日は外へ出かける体験ツアーです!
15種類ものメニューの中から、自分の行きたいコースを選びます。国立公園まで遠出したり、植物園へ行ったり、野外料理を楽しんだり、身近な公園の活動に参加したり、サイクリングで街をまわったり・・・などなど、実に多彩なメニューです。
私は、「Art, Health and Nature(アート、健康、自然)」のコースに参加しました。コースごとに集まったら、バスに乗って出発です!
<1>Croxton養護学校
最初に訪れたのは、養護学校です。ここには、スクールガーデンがあり、生徒たちが植物のお世話をしています。
菜園にはかわいい案山子がかかっていて、大きな貯水タンクや道具小屋などがあります。
先生が生徒を呼んできて、みんなで樹木への水やりが始まりました。
この学校では、知的障害のある生徒たちが、庭の草花や菜園、苗木などを育てています。このようなガーデニングの活動を通して、ボランティアで参加する地域の人々との交流をしたり、家族の絆を深めているとのことでした。
生徒に見送られて、次の見学地へ向かいます。
<2>Caitlin'sリトリートセンター
1時間ほどバスに揺られて、うとうとしていたら、いつのまにか山の中を走っていました。
日本の森とはずいぶん様相が違います。そう、ユーカリだらけです!
これだけユーカリがあったら、コアラも困りませんね。カンガルーに注意!のサイン看板もありました。
林道をしばらく行くと、Caitlin'sリトリートセンターに到着しました。ここは、People&Parks協会が運営するセンターです。自然素材で作った建物と農園が広がっています。野鳥の声がたくさん聞こえる、静かな場所です。
パーマカルチャーの農園もあり、
羊もいました。
センターの下を流れる川は、メルボルン市内を流れるヤラ川の上流になるそうです。
ここには主に、心が疲れてしまった人のためのセラピーの場所として、また病気を抱える子どもをもつ家族が安心してのんびり過ごせる場所として、利用されているとのことです。
People&Parks協会は、このリトリートセンターの運営をはじめ、子どもたちの環境教育(レンジャーキャンプ)や、森や海でのボランティア活動のコーディネートを行っています。
<3>Laughing Waters 芸術家の家
リトリートセンターから5分ほど歩いたところに、さまざまなワークショップを行っている建物がありました。
ここでは、芸術家のアンナさんより、自然からのインスピレーションをもとに行う芸術活動についてのお話がありました。
いかにもアーティストといったオーラを出しているアンナさんです。
アンナさんの上にはってある紙は、自然をイメージしたときの連想をあげていくワークショップで使ったシートです。アンナさんはこの近くで生まれ育ったそうで、この森が大好き。自然からたくさんインスピレーションをもらえると話していました。
<4>メルボルン・ロイヤル子ども病院
最後の見学地は、子ども病院です。
この病院は、ロイヤルパークという大きな公園に隣接しています。1870年にできた歴史ある病院です。
この病院では、自然の力が患者の自然治癒力に大きく貢献していることを踏まえ、建物のデザインに自然のデザインを取り入れて、子どもたちがいつも自然を感じられるような場にしていこうと、建物の大々的な改築をすすめています。
改築のコンセプトは、「公園の中に病院があり、病院の中に公園がある」(!)です。
現在も、子どもたちが遊べる小さな公園や、キッズガーデンが病院内にあります。もう夕方になってすっかり暗くなってしまったので、写真が撮影できませんでしたが、自分が子供だったらここで遊びたい!と思えるほど、かわいらしい公園でした。
この病院で作った「A Breath of Fresh Air(新鮮な空気の息遣い)」という本には、ガーデニングは心の栄養になるとして、草花のお世話をする子どもや家族の声がたくさんのっていました。
ここで、ツアーは終了です。またバスに乗って、会場のコンベンションセンターに戻って解散です。
日本でも園芸療法が注目されていますが、ここメルボルンでは、自然と人の健康のつながりをよりダイレクトにつくるために、ハード面でも、さまざまなプログラムなどのソフト面でも、新しいチャレンジをどんどんすすめていることがわかりました。わくわくする、すばらしいツアーでした!同じ関心を持つほかの参加者とも、仲良くなることができました。朝7時から夕方6時すぎまで、so long day!でしたが、とても充実した一日でした。