宿泊しているBerkeleyは、
70年代に起きた市民運動の精神が
今も引き継がれ、
様々なNPOが活発に活動している街です。
そのため、街の中のさまざまなところで、
市民運動の歴史やNPOの精神を
うかがい知ることができます。
Berkeley駅のすぐ近くにあるStreet、
足元を見てみると様々なArtが見つかります。
レンガに囲まれた枡の中に
たくさんの耳と耳、唇が彫られています。
レンガには様々な国の言葉、例えば
英語では「Make Art」、
日本語では「芸術しよう」、「創作藝術」
と書かれています。
このアートからどんなメッセージを
受け取りますか?
上の写真では、歩道にBerkeleyの
歴史的な出来事が彫られています。
例えば、
1935 18 ANTI・WAR DEMONSTRATORS ARRESTED
(1935年、18人の反戦家が逮捕された。)
戦争に反対する声が権力によって
つぶされたことを言っていますが、
これは平和へのメッセージだけではありません。
市民はその後も決してあきらめず、70年代以降、
市民活動によって言論の自由を勝ち取りますが、
その精神が今もNPO精神として引き継がれています。
NPO精神の歴史的背景の一つとして、
1935年の出来事を伝えようとしています。
他にも、
1969 FREE CLINIC ESTABLISHED
(1969年、無料の診療所が開かれた。)
貧しい人、遠くの病院まで行けない人、
こういった人たちのために、
地域の無料診療所が1969年に開かれました。
NPOが誕生するずっと以前に、
その原形となるものが市民の手によって誕生していた
という歴史を伝えようとしています。
また、Berkeleyの街を歩くと、
レンガ造りの建物をよく見ます。
そして、次のようなプレートが
付いていることがあります。
これは、Berkeley市のランドマークとして
歴史的建造物を保存するというものです。
建物を建て替える際には、内装は替えても
外装はそのまま残さなければなりません。
これらのArtをつくるのも、歴史的建造物を
選定するのも、市民の手によるものです。
この街では、
市民の精神、街の風景は、
歴史一つ一つの積み重ねであり、
その歴史を残し、次の世代に伝えていく
といういことを市民が認識し、実践しています。
Bay Areaは、NPO活動が盛んな街として
知られていますが、ある日突然、
そのようになったわけではありません。
言論の自由を勝ち取り、
市民活動が活発になっていくにも、
過去に権力と戦った運動家がいたという歴史、
NPOが生まれる以前に、その原型となる
無料診療所をつくった人がいたという歴史。
こういった歴史一つ一つを引き継ぎ、
それが背景となって、初めて
NPOが根付いた今のコミュニティが存在する
という事実をこのBerkeleyの街は教えてくれます。
アメリカのNPOシステムを学んで
日本に導入するだけでは、
そこにNPOは根付かないでしょう。
私たち一人一人ができること、
それが小さなことであっても
市民活動の歴史として残していく。
時間はかかるかもしれませんが、
それを積み重ねて、伝え、
背景をつくっていく。
これが今の日本に必要なことなのでは
ないでしょうか?
「市民が自ら積み重ね、背景をつくっていく。」
そうですよね。
ズシンと心に響きました。
NPO birth | 2010年3月 4日 18:59
西海岸の市民社会には、歴史的な背景があるという事を
知りました。
ありがとうございます。
b-green | 2010年3月 5日 09:39