訪れたのは、西オークランド地区といわれる地域。
West Oakland駅を降りると、目の前に広がるのは、
住宅街や工場、そして頭上には高速道路。
歩いている人がほとんどいない...
飲食店などのお店が見当たらない...

滞在しているBerkeleyやいままで訪れたPowell駅周辺のように、
飲食店や映画館、本屋などが立ち並ぶ賑やかな雰囲気はありません。

実はこの西オークランド地区、
工場や高速道路が次々建設され、発展しつつある産業地帯。
しかし、この地域に住む約2万5千人のうち、
貧困層以下の暮らしをしている人々（最貧困層）が
約30％も占めているそうです。

そして、もっと驚きなのが、
この地域に45件もの酒屋さんがあるのに対し、
食品を扱うお店は、たった1件であるということ！！

そのため、地域住民は新鮮な野菜や果物を手に入れることが
非常に困難で、栄養不足に悩まされています。

そこで、「このままじゃいけない！」と
住民がNPOを起ち上げました。
その目的は、
健康かつ安全で手ごろな食材を地域に提供し、
「Food Justice（食にまつわる権利を守ること）」
を促進すること。

現在、このNPOでは、「Community Market Farm」といわれる
６つの農場やガーデンを管理し、
新鮮でオーガニックな野菜を所得に合わせた価格設定で
地域住民へ提供するなど、地元に根ざした活動をしています。

待ち合わせ場所に行くと、「ハーイ！！」
とコーディネーターが元気に迎えてくれました。
笑顔が素敵な女性のコーディネーターです。

団体の概要について丁寧な説明を受けた後、
作業する農場を案内してもらいました。

道路に囲まれた小さな畑には、
インゲンマメ似たマメやカラフルな菜っ葉、
ラディッシュ、ビーツ、ハーブなど、
みんな（いろんな人種の方）が食べられる野菜が植えられています。

一見、ただの菜園のようにしかみえませんが、
狭く限られたスペースしかない中で、
野菜の種類や収穫量を最大限に増やす知恵が、
各所に散らばっていて、
かなりアカデミック！

例えば、
背の高い野菜の間に背の低い野菜を植えてスペースの有効利用。
虫除けの効果があるハーブを畑の周りに植えて、自然の力で害虫対策。
野菜クズや家畜のフンを利用した堆肥づくり。
などなど。

雑草も、農薬を使わずに基本的に手作業で取ります。
野菜だけでなく、農場の中や外の生態系についても
考えて作業しているそうです。

小さなエリアですが、
たくさんの人の知恵や努力が詰まった温かい空間です。

わたしたちの作業内容は、
苗を植えや種まき、マメ科植物のつる整理、草取り。

コーディネーターに
「これであってる？大丈夫？」
と作業の進み具合を確認すると、
「大丈夫よ！完璧だわ！」
と必ずほめてくれました。

やはり、褒められるって大切ですね。
ついつい調子に乗って、作業もスピードアップ！

ランチはみんなでテーブルを囲み、
賑やかにおしゃべり♪

会話の中で、インターンの女の子が言った一言に感動。

「私は、都会の中に緑を増やすことをしていきたい！
　自然と人とのつながりが大切なんだ。
　どろんこになって自然とふれあう機会が少なくなっている。
'きれいな公園'という見ためだけの美しさだけではだめなんだ。」

まさに私たちbirthと同じ考え！

また、コーディネーターは、
幼いころ自然豊かな田舎に住んでいたが、開発が進んで、
自然はもちろん人のコミュニティーも壊れていった。
そして先住民たちとの問題も出てきた。
そこで、誰のために何をどうするのか？
といった社会変革の精神が芽生えたそう。

日本から遠く、サンフランシスコでも
同じ信念を持って、活動をしている人がいる！
なんだかものすごい勇気とパワーをもらいました。

と話し込んでいるうちにお昼はあっという間にすぎ、
午後の作業開始！

黙々と作業をしていると、
いきなり気温がぐっと下がり、ポツポツと雨が...
気がつくと、なんと雹（ひょう）が降ってきました！！

なんという天気でしょう。
私たちは、え！晴れてたのに...とちょっとパニック。

みんなは「たまにこんな天気もあるのよ～」
と慣れた様子で雨宿り。

このまま、雨が降り続きそうということで、
作業は早めに終了。

「地元の問題をどうにか地域のみんなと変えたい！」
という熱い想いに触れ、
「自然と人との触れあいを大切にしたい！」
という同じ想いに触れ、
NPOの真髄を感じることができた
充実した一日でした！！