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入りは、入

2010年3月13日 /レンジャーの自然情報

狭山丘陵には、たくさんの湿地帯があり、その名称の末尾には「谷戸」「谷津」「入」などが当たられている。「後ヶ谷戸」「滝田谷津」「宮野入」などだ。


同じ形状の湿地部なのに、なぜか?名称の末尾には「谷戸」「谷津」「入」が当てられている。


100313-1.jpg「なんでだろう~♪」

 

 

インターネット辞書で調べてみると、「谷戸」とは、「丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形」とある。呼び名には地域差があり、千葉県などでは「谷津」(やつ)と、神奈川県および東京都多摩地域では「谷戸」(やと)と、東北地方では「谷地」(やち)と呼ぶことが多い、という事だ。
確かに、birth事務所のある西東京市には、「谷戸」という地名があるし、多摩丘陵から南側には、「谷戸」と地名が多い。

 

 ところが、狭山丘陵だと、谷状の地形の全てを「谷戸」とは呼んでいない。

例えば、都立野山北・六道山公園最大の谷状地形は、江戸時代から「宮野入」と呼ばれてきた。その他にも、「エヶ入」「田の入」など、「入」と呼ばれている場所が多い。
もちろん、「谷戸」「谷津」という名称がつけられている場所もある。「後ヶ谷戸」や「滝田谷津」などである。

 

 谷状の地形を「入」と呼んでいるのは、狭山丘陵だけではない。

あきる野市の「横沢入」、日ノ出町の「谷の入」も、末尾は「入」である。

 

では、「入(いり)」とは何か?
そのものズバリの意味は見つからないが、「入り江」という言葉が近いと思う。
「入り江」とは、「海や湖が陸地に入り込んだ所」とある。
つまり,、丘陵地の谷状地形に付けられた「入」とは、「平坦な地形が、丘陵地に入り込んだ所」と解釈できる。

 

では、なぜ、狭山丘陵には、「谷戸」「谷津」「入」があるのか?
○昔は「入」と呼ばれていたが、近年、「谷戸」や「谷津」に呼び名が変わった。
○長い歴史の中で、狭山丘陵には、いろいろな地域の人が移り住み、出身地域の違いによって「谷戸」「谷津」「入」の名称が付いた。


真相は不明だが、いずれにせよ、昔から付いている名称である。

何らかの歴史的背景があるのだろう。


最近、狭山丘陵を紹介するガイドブックの中には、「宮野入」を「宮野谷戸」と紹介しているものもある。確かに、「宮野入」は、谷戸地形なのだが、古来、「宮野入」と呼ばれてきた。

迂闊に名称を変更せず、「入」という名称を大切にしていきたい。

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