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記憶に残る味

2010年2月 6日 /里山民家だより

一昨日の夕飯、覚えていますか?


昨日の夕食だったらパッと出るんだけど、
一昨日となると...。


直接、思い出すのはまず無理、一昨日の自分の行動を思い出したり、夜見たテレビを思い出したりと、いろいろな状況を糸口にすれば何とか答えにたどり着ける。

 

ところが、仮に一昨日がすごく寒い日で、「こんな日は、おでんに限る」なんて会話が交わされ、おでん種を自分で買いに行ったけど、目当てのチクワブが売り切れだった、みたいな付随情報があると、記憶は鮮明に残るものです。

 

さて、下の写真。
これ何だか分かりますか?

 

100206.jpg

 

「葛餅」です。

この葛餅は、付随情報にあふれています。


まず、昨年末、ボランティアさんが、里山から葛の根を掘り起こし、
根っこを粉々に砕き、
何度も何度も水にさらし、
沈殿したでんぷんを、日陰干しして白い葛粉を作り、
その粉を湯で練って、
皿の上にのせてくれました。

 

葛の根っこを見つけ出し、掘り起こすだけでも大変な作業。
それを砕いて、冷たい水でさらして・・・。
この葛餅には、たくさんのボランティアさんの思いがつまっています。

 

因みに、この葛餅づくりは、ボランティアのナベちゃんの発案で始まりました。

ナベちゃんが子供の頃、故郷のお母さんが良く葛餅を作ってくれたそうです。

今から50年ほど前、ナベちゃんが故郷を離れる日。

ナベちゃんは、お母さんに「葛を取っておいで」と言われ、野山で葛取りをしたそうです。

 

「お袋の作った葛餅は、もっと白かった」


ナベちゃんの言葉が、温かく、ちょっと切なく胸に響きます。
「白くて、甘くて、プルンとして、舌の上ですぅ~と消えてしまう味」
記憶に残る里山の味です。

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